買ってはいけない5つの理由: テーマ型投資信託とは

資産運用
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世の中で話題になっているテーマで銘柄を選別する「テーマ型投資信託」が売れている。テーマによっては大きなリターンをもたらす可能性はあるが、反面リスクも大きい。また、短期志向が強く、コストも高いため長期の資産運用としては向かない

これを読むことで

1.テーマ型投資信託とは

2.テーマ型投資信託の3つのメリット

3.テーマ型投信信託を買ってはいけない5つの理由

がわかります。資産運用商品を選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。

テーマ型投資信託とは?

テーマ型投資信託とは、世の中で話題になっているテーマに着目し、そのテーマに関連する業種や銘柄に絞り込んで投資するファンドのことです。

2010年代は、シェールガスファンドなど、その時々で注目されるテーマ型ファンドが誕生しており、最近では、「フィンテック」「AI」「ブロックチェーン」「ゲノム」「eコマース」「ゲーム&eスポーツ」などといったテーマ型が注目をされています。

テーマ型投資信託は売れている?

2023.07月の資金流出入額上位をみると、グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)(未来の世界(ESG))は当初(2020.07月)設定額が3,830億円であったが、その後も売れ行き好調で、7月末時点で純資産残高は9,720億円(約2.5倍)に達した。

確かに、売れる理由として大きいのは販売会社の営業努力であることは間違いない。いくつかの銘柄の組み合わせで約1兆円の資金が自然に集まることはない。テーマ型投資信託は、かつては金融機関が手数料を稼ぐため、短期間で顧客に乗り換えを促す回転売買の道具として盛んに使われていた。今は金融庁の目が厳しく、短期の乗り換え営業は影を潜めているもようだが、販売会社にとってセールストークを組み立てるのが簡単なテーマ型は、今も「売りやすい投資信託」であることに変わりはない。

テーマ型投資信託の売りやすい訳

投資先がわかりやすい

テーマ型投資信託は何に投資するかが明確です。AIやDX、5Gなどというテーマはテレビやニュースでもよく取り上げられているため、投資信託を全く知らない人でもなじみがあります。

明確なテーマが設けられていますので、どのような企業に投資しているかを理解しやすいというメリットがあります。

また、テーマ型投資信託というのは常に人気があり、売り出されると多くの人が購入します。したがって、運用会社もさまざまなテーマ型投信を作って売り出すため、説明がしやすく、売りやすいという面もあります。

儲かりそうなイメージがある

自分の関心のある銘柄と設定したテーマと相場の流れがうまくかみ合っていれば、短期間で大きな利益を獲得できる可能性があります。自身で最新のテクノロジーやトレンドに興味を持ったとき、数ある銘柄のなかで自分でを選ぶことは困難でも、テーマ型を選択することで、効率よく利益を得ることができるイメージがある。

市場平均より高いリターンを狙える

テーマ型投資信託は市場全体に投資するのではなく、特定のテーマに沿った業種の企業に投資をすることになりますから、アクティブ型の投資信託です。テーマ関連銘柄への「集中投資」により、市場平均より高いリターンを狙うことが可能です。

ただし、裏を返せば分散が不十分という見方もできます。市場全体の値動きを表す指数に連動するインデックスファンドなどと比べればハイリスクハイリターンな傾向があると言えます。

テーマ型投資信託 買ってはいけない5つの理由

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分散投資のメリットに逆行している

投資信託の最大の長所は、少額でも実質的に分散投資のメリットを得られること

しかし、テーマ型投資信託は、投資する業種や銘柄をテーマで絞り込んでしまうために、せっかくのメリットを放棄しています。

期待できるリターンが同じなら、リスクを小さくできる分散投資を行う方が有利です。テーマ型投資信託はこの原則に逆行していると言えます。

長期投資には向かない

テーマ型投資信託とは、特定の投資テーマ、例えばAIであるとかDXあるいはESGや五輪といった、その時に話題になっているテーマに関連した業界や企業に投資するというタイプのものです。

実はこういうタイプの投資信託は最近急に出てきたものではなく、昔からありました。ところが過去の実績を見ると、こうした投資信託の多くは短命に終わっています

例えば携帯事業が出始めた頃は、電気通信関連企業も非常に注目されました。さらにこうしたテーマ型投信はジャンルを変え、今でも売り出されていますが、ほとんどは純資産も大きくならず失敗に終わっているのです。

テーマ型投資信託のファンドの多くは過去1年の運用成績は好調だったので、資金の流出は相場上昇に伴う利益確定のための解約が中心だったと思われる。購入者も基準価額が2割、3割上がればさっさと売り抜けようという短期の売買に手慣れた投資家(デイトレーダー)が中心となっている。

ただし、こうしたテーマ型ファンドは短期的には儲かる可能性もあります。高値圏にいるということはそれだけ株価の動きも激しくなっていますから、設定してごくわずかの間に急騰することもあり得るからです。そうなると一気に人気が高まり、さらに売れるでしょうから、販売する方も熱心に勧めてきます。でも、そこで買うのはハイリスクと考えるべきでしょう。

参考記事:「3つの危険性 デイトレードはやめたほうがいい」

デイトレードはやめたほうがいい
デイトレード(短期売買)の危険性について3つお伝えします。

高コストである

テーマ型投資信託の多くは、実質信託報酬が2%台と高めとなっている。インデックス型を除いた平均は1.7%台で、アクティブ型全体の平均(約1.5%)を上回っている。高いリターンを上げ続けるファンドなら信託報酬が平均を上回っていれば文句はないが、長期運用ではコストが確実にリターンの足を引っ張る面は否定できない。

ちなみに販売手数料も2%~3%くらいが大半で、販売会社にとっては利幅が大きい商品と言える。

例えば、1,000万円投資したら、1年目には35万円くらい手数料を払う計算となる。加えて、テーマ型投資信託の場合、テーマのブームが去ると売りたいと思い、また別の商品に乗り換える時には販売手数料が掛かる。

つまり、短期投資でも、運用期間当たりの販売手数料の重みが大きくなることの不利があることを知っておくべきです。

毎月分配型投信の代わりに売られている

これまで売りやすかった毎月分配型の投信に対して金融庁の見る目が厳しくなったので、別の手数料稼ぎの手段としてテーマ・ファンドが注目されている

そこまで意図的ではないかも知れませんが、テーマには話題の旬の期間があって、旬が終わると別の物に関心が移りやすいことも販売会社にとっては好都合です。

参考記事:「仕組みを知ろう! 毎月分配型投資信託」

毎月分配型投資信託とは
毎月分配型投信そのものは悪くありません。毎月分配型投資信託のメリット・デメリットを見てご自身にあった商品かを見極めていき...

既に高値になっている場合が多い

一般のニュースや話題で取り上げられているということは、既に株式市場でも相当関心が高まっているわけですから、いわゆる「高値かみ」となっていることが多いです。プロの投資家は一般投資家よりも先に良い情報をキャッチできる。それにより先行して購入するため、株価が先行して上昇します。一般投資家が購入しようとする段階ではすでに投資対象の銘柄が既に高値圏になっているという可能性が高いのです。

テーマ型インデックス投資信託は名ばかり

テーマ型インデックス投資信託は、インデックスとは名ばかりの「アクティブ型の投資信託」と同様です。さらに、各社独自の指数のため、同じテーマの商品でも、それぞれ中身がだいぶ違うので確認する必要があります。

 アクティブ型の場合は、銘柄を入れ替えることで、状況が変わっても生き延びることができます。しかし、テーマ型インデックス投資信託は指数の構成銘柄が固定されているため、アクティブ型のメリットも打ち消してしまっている。

また、市場全体に分散投資する従来型のインデックス投資信託は、長期資産運用に適した投資信託であるが、テーマ型インデックス投資信託は、長期運用には不向きである。

最近では、iDeCo(個人型確定拠出年金)の商品ラインナップにこのタイプの投資信託を加えている金融機関もあるので要注意である。

テーマ型インデックスファンドシリーズ例】

①「eMAXIS Neo」シリーズ (信託報酬:年率0.792%(税込))

「AIが銘柄を選ぶ、新時代のインデックスファンド。eMAXIS Neoが連動を目指すインデックスは、AI(人工知能)が数百万ページ以上の企業の開示資料等を自動で読み込み、テーマに関連するコトバの有無を基本に銘柄を自動で選び出します。
AIだから、銘柄の取りこぼしが少なく、テーマの恩恵を十分に享受することが期待されます。」

*eMAXIS Neo 三菱UFJ国際投信HPより引用


「SMT MIRAIndex」シリーズ (信託報酬:年率0.77%(税込))

「インデックス自体にテーマや企業の収益性に着目して銘柄を絞りこむというアクティブファンドの要素を取り入れ、シンプルでわかりやすく低コストの未来テーマ型インデックスファンドを実現。

三井住友トラスト・アセットマネジメントとファクトセットが共同開発した独自の指数。
各テーマ企業の世界株式の中で、売上高や時価総額、収益性に着目して選定された企業群を指数化。」

SMT MIRAIIndexファンド 三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社HPより引用

まとめ

「わかりやすい」が「儲かる」とは限らない

テーマ型投資信託というのは常に人気があり、売り出されると多くの人が購入します。したがって、運用会社もさまざまなテーマ型投資信託を作って売り出します。

その理由は、「わかりやすい」ことと「販売しやすい」ことにあります。

中でも最大の理由はわかりやすさです。AIやDX、5Gなどというテーマはテレビやニュースでもよく取り上げられているため、投資信託を全く知らない人でもなじみがあります。ということは、販売する側にとっても説明がしやすく、売りやすいということです。

ただ、いくら言葉を聞いたことがある、あるいは、よく知っていたとしても、それが必ずしも儲かるとは限らないのは当然です。「わかりやすい」と「儲かること」は別だからです。

特に、投資初心者は、「株のことはよくわからないけど、AIや5Gはブームだし、あちこちでロボットも見かけるから、きっとそういうものを作っている会社は注目されるだろう」と言った具合に誰でも想起しやすいことから、関連する株も上がるのではないか?と感じてしまう錯覚に騙されないようにしましょう。

まとめると、テーマ型投資信託は、販売する側にとっては説明が容易で売りやすく、コストは高めで利益率が高く、購入者は短期志向の投資経験者(デイトレーダー)が中心。確かにテーマが当たれば大きく儲けられるかもしれないが、外れも多い投資信託であり、長期投資としては不向きな金融商品である。

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