3つの危険性: デイトレードはやめたほうがいい

資産運用

ここでは、デイトレード(短期売買)の危険性について3点お伝えします。

その1:ゼロサムゲームの危険性

デイトレードとは、金融商品を1日の取引時間中に売買を完結させる取引のこと。株式・債券取引や外国為替証拠取引(FX)、商品先物取引などがある。

デイトレードはゼロサムゲーム(あなたが儲かる=相手が損する。また、あなたが損する=相手が儲かる)である。例えば、宝くじ・ギャンブル(競馬等・パチンコ等)もゼロサムゲーム。まずは胴元の儲け(宝くじ約53% 公営競技約25% パチンコ約15%)が引かれ、その残りを競馬場に来られている馬券購入者や隣のパチンコ台にすわっているお客さんと利益を取り合うゲームである。

投資において、AIやプロの投資家を相手に儲ける自信はありますか?

プロの投資家は、市場の重要なニュースを即座に把握できる。重要なニュースは市場が閉まってから発表されることが多く、個人投資家が把握する次に日には、すでに値上がりが織り込まれている。

また、個人投資家は本業(仕事)をしながら投資をしている方が多いが、人はいつでもどこでもスマホで状況が把握できる環境だと自分が勝っているかどうか確認せずにはいられずにトイレに駆け込み確認をしてしまうようになり(トイレトレーダー)、本業が手につかなくなくなる。

確かにタイミングによっては、儲けることもあるが勝ち続けることは困難であり再現性(*)はない

 *再現性:だれでも同じ置き場所同じ時期にすれば同じ結果になる状態。

その2:購入回数の危険性

宝くじで自己破産した人はあまりいない(数が少ない)が、競馬・パチンコは購入回数が多いため、その都度売買手数料を取られているため、結果損する可能性が高くなり自己破産する人も多い。

デイトレードは、1日の間で何回でも売買を繰り返しても問題はない(同じ資金で同じ銘柄を売買できるのは1日1回まで)が、取引を実行する都度、売買手数料がかかるため損をする可能性が高い。

また、「年間90%以上勝つ優績デイトレーダーが教える攻略法」と謳っている広告もあるが、時間ごとの勝率でみると、年間90%の勝率は、1か月では67%、1日の勝率は54%、1時間の勝率は51.3%、1分の勝率は50.17%となる。1分の売買では半分は負けることになる。短時間での売買で勝ち続けることは困難である

その3:心理的要因

投資家は収益よりも損失のほうに敏感に反応し、収益が出ている場合は損失回避的な利益確定に走りやすい。「損失」は「収益」の2倍のダメージを受けると言われています。(プロスペクト理論

例えば、A「100万円もらえる確率は90%」、B「90万円もらえる確率は100%」の場合、期待値は+90万円にもかかわらず多くは、B:90万円もらえる方を選択する。

一方、A「100万円損する確率は90%」、B「90万円損する確率は100%」の場合、期待値-90万円にもかかわらず、多くはA:100万円損するを選択される。このように損失の度合いによって異なる意思決定をしてしまう。

これは、デイトレードであるFXや個別株投資で顕著に現れます。「含み益が出ている場合、利益が最小になっても利益確保のため、すぐに売却した。」また、「含み損が出ている場合、想定外の損失が出ても損切りによって損失を確定させたくない。」といった心理が働きます。

つまり、自分が買った価格を基準にしてしまい、戻ったら売ろうと思ってしまい、損切りできないままいわゆる「塩漬け状態」となってしまうことも多い。

それであれば、客観的に見ることのできる運用のプロにまかせる投資信託商品にて運用したほうがいいのでは。

参考:騙されてはいけない「サバイバーシップバイアス商法」

サバイバーシップ(生存者)バイアスとは、

サバイバーシップ(生存者)バイアス(survivorship bias)とは、何らかの成功を遂げた一部の人物や企業、物事のみを基準とすることで誤った判断をしてしまうこと。

事象や手段を評価する際に、成功せず失敗に至った数多くの事象を考慮することなく、一部の成功事例のみをもって判断してしまい、誤った結論を導き出してしまうことである。

投資の世界でも、途中で廃止になり、パフォーマンスが悪いためにデータを調査機関に提供しなくなったファンドが除かれ、結果的にパフォーマンスが良い、最後まで生き残ったファンドのみで投資形態別の過去のリスク・リターン特性が計測され、実態が十分に反映されず、過去のパフォーマンスが課題評価されてしまうケースがある。

この心理を使った商法がサバイバーシップバイアス商法です。

200人に対して100%当たる株式予想システム」

信じていない人200人に対して、

1日目:100人に「株価上がる」、100人に「株価下がる」メールをする。

2日目:1日目の当たった100人のうち50人に「株価上がる」、50人に「株価下がる」メールをする。

3日目:2日目の当たった25人、4日目:3日目の当たった13名、5日目・・6日目・・7日目:6日目の当たった2名にメールする。

最後に残った1名は「7日連続で当たった!と信じ込んでしまい、高い確率でこの株価予想システムを購入する。」との投資商品を勧誘する商法である。

相手を完全に信じさせることで投資商品を購入させる商法には騙されないようにしましょう。

投資のタイミングの考え方

5人の投資家が20年間毎年元旦に120,000円(合計2,400,000円)を渡されそれぞれ運用した結果

  *2000~2020年S&P500年平均利回り5.8%を基礎に計算野村証券マネーシュミレーター「みらい電卓」にて計算

神投資家:毎月1万円づつ、S&P500に投資(年率5.8%)すると、443.4万円

速攻投資家:元旦に一括で12万円、S&P500に投資(年率5.3%)すると、419.5万円

堅実投資家:毎月1万円づつ、インデックス型投資信託に投資(年率5.15%)すると、412.6万円

不運投資家:毎月1万円づつ、インデックス型投資信託に投資(年率3.6%)すると、348.5万円

現金投資家:毎月1万円づつ、銀行に預金(年率0.002%)すると、240万478円

①~③であれば再現性は高いと思われる。毎月コツコツとインデックス型投資信託に入金する仕組みを作っておけばあとは放置でよい。

なお、⑤現金投資家では今後インフレが続く状況になれば預けているだけで目減りしていく。

また、1年分全額投資する勇気がなければ、堅実に毎月決まった金額を投資することで、時間の分散をすることでリスクを減らしながら増やすことができる。また、決まった金額を決まった時期に投資することで手間なく資産運用ができ、本業の仕事にも集中することができる。

ゆっくりお金持ちになろうとする人が少ないからお金持ちが少ない

  投資持株会社バークシャー・ハサウエイ会長兼CEO ウォーレン・バフェット氏

まとめ

デイトレード(短期売買)では、確かに短期的に儲けることもあるが、継続的に収益を上げることを困難である(再現性はない)

一方、投資信託は、運用の専門家の客観的な判断のもと、株式や債券に分散投資され、低リスク運用をする商品である。まず、資産運用は中期長期での低リスク・低コストである守りの資産運用(コア運用)をすることが重要である。

デイトレード(短期売買)は、まさに攻めの資産運用(サテライト運用)であり、コア運用とサテライト運用の両方を持つことによるリスクとリターンのバランスをとることが重要であり、デイトレードのみの運用は、高リスクであり資産形成としては不適である。

コメント

タイトルとURLをコピーしました