保険料が戻ってくるタイプの医療保険は「お得」なのか?

生命保険

保険料が戻ってくる医療保険は主に2タイプ

「病気やケガに備えて、医療保険は必要だと思うけど、毎月保険料を払い続けていくのはなんだかもったいない気がする・・・」とか、医療保険には加入しているけれど、これまで一度も入院も手術もなく、給付金を受け取った経験がないという方もいるのではないでしょうか?

保険料が戻ってくるタイプの医療保険(貯蓄型医療保険)は、払い込んだ保険料が所定の条件を満たした時に返還される仕組みの医療保険です。

新しい医療保険のタイプかと思われますが、メットライフ生命が「生存還付給付金付終身医療保険」を2007年7月に発売し、17年以上経過している。以後、各社同様のタイプの医療保険を発売しているが、各社、契約件数を順調に伸ばしている状況である。

貯蓄型医療保険は、保険料の返還タイミングによって以下の2種類に分けられます。

  1. お祝い金(健康祝い金付)タイプ
  2. 使わなかった保険料が戻る(健康還付給付金付)タイプ

1.お祝い金(健康祝い金付)タイプ

お祝い金タイプの医療保険は、一定の契約期間(5年・10年等)ごとに「お祝い金」としてお金が戻ってくる仕組みになっています。

医療保障を持ちながら、貯蓄をしているような保険です。

ただし、お祝い金を受け取るためには保険会社所定の条件(一定期間入院給付金を支払われなかった等)を満たす必要があり、受け取れる金額は契約時に設定します。

2.使わなかった保険料が戻るタイプ

使わなかった保険料が戻るタイプの医療保険は、契約時に設定した年齢まで、健康(生存していれば)であればそれまでに払い込んだ保険料が全額戻ってくる仕組みになっています。

保険期間中に入院や手術などで給付金の支払があった場合は、支払った給付金額を差し引いた保険料が返還されるタイプが多いです。

支払った保険料が無駄になりにくいため、これまで入院・手術等されていない方にとっては魅力的な保険であると言えます。

ただし、保険料返金の年齢や金額等については、保険会社によって異なるため、契約前にしっかり確認しておくことが重要です。

解約返戻金タイプもある

解約返戻金タイプの医療保険は、保険期間中に解約した場合に、支払った保険料の一部が「解約返戻金」として戻ってくるタイプです。

解約返戻金は契約期間に応じて徐々に増えていくため、契約を長期間続けることでまとまったお金を受け取ることが可能です。

ただし、加入してからすぐに解約すると、解約返戻金をほとんど受け取れない場合もあります。

保険料が戻ってくる医療保険(貯蓄型医療保険)2つのメリット

貯蓄型医療保険は、医療保障と資産形成を両立したい人に適した保険です。メリットは主に以下の2つです。

健康でもお金が受け取れる

貯蓄型医療保険では、一定期間を健康に過ごし、給付金を請求しなかった場合などに、支払った保険料が戻ってくる仕組みがあります。

掛け捨て型の医療保険では、病気やケガをしなければ保険料がそのまま保険会社に支払われるだけですが、貯蓄型医療保険なら、健康で過ごせば保険料が返還されるため、保険料の掛捨てイメージを感じにくいでしょう。

また、定期的にお金が受け取れることで、ボーナスがもらえると感じ、契約の継続にもつながります。

貯蓄の代わりに利用できる

貯蓄型医療保険は、特定の条件を満たせば、将来、お祝い金や健康還付金解約返戻金を受け取れるため、貯蓄としての機能もあり、保険料を支払いながら手間なく貯蓄をすることができます

また、毎月支払う保険料を高くすることで、その分受け取れるお祝い金や健康還付金も多くなるため、老後の生活資金などの費用にも備えることもできます。

保険料が戻ってくる医療保険(貯蓄型医療保険)5つのデメリット

貯蓄型医療保険は、掛け捨て型保険とは異なるデメリットがあります。

デメリットを十分理解した上で、加入を検討しましょう。

1.必ず保険料が戻ってくるとは限らない

貯蓄型医療保険の大きな魅力は、一定の条件を満たせばお祝い金や健康還付金などの形式で、保険料が戻ってくる仕組みです。

しかし、祝金や健康還付金を受け取るためには「給付金を一切請求しなかった場合」「〜日以上の入院給付金を請求しなかった場合」など、特定の条件を満たす必要があります

病気やケガはいつ起きるかわからないので、必要な時期にお金を受け取ることができない場合があります。

2.インフレリスクがある

貯蓄型医療保険のうち、使わなかった保険料が戻ってくるタイプの商品は、無駄がなく魅力的に見えます。

たとえば、「100万円の保険料を支払い、60歳時点で給付金の請求がなければ、支払った100万円が健康還付金として戻ってくる」といった契約であれば、「損をしないのでは?」と考えるかもしれません。

しかし、健康還付金を受け取るタイミングでインフレが進行していると、受け取るお金の価値が目減りしてしまいます

例えば、インフレ率が 年2.0% の場合、 現在の100万円 の実質的な価値は 10年後 にはどのように変化しているでしょうか。

正解は「 約82万円」です。 資産が約18%も目減りしてしまいます。インフレが与える家計への影響は大きいと言えます。

一方、医療保障は掛捨てと割り切り、掛け捨て保険料との差額分を元に、医療保険以外の金融商品で運用していれば、より増やすことができた可能性もあります。

貯蓄型医療保険に加入することで「支払った保険料が戻ってくる」という安心感は得られますが、支払った保険料以上にお金が増えることはほとんどありません。(*一部支払った以上に戻るタイプもあります。)

3.途中で解約すると元本割れする

一般的な貯蓄型医療保険は、保険料払込期間中に解約すると、払込保険料の総額を下回ります(元本割れ)

保険会社は契約者から預かった保険料をから、保険会社の運営費用(販売手数料)や給付金を支払うための費用などを差し引き、残った分を積立金として運用し、お祝い金および健康還付金として支払っています。

保険会社としても、契約してすぐは運用の成果が十分に積み上がっていないため、元本割れとなることがほとんどなのです。

貯蓄型保険は、基本的に長期間(25年から30年程度)継続することを前提に加入する必要があります。

4.保険料が割高になっている

貯蓄型医療保険は、保険料が一般的な医療保険に比べて高めに設定されています。

これは、保障費用だけでなく、貯蓄に回すお金が保険料に含まれているためです。

ということは、同じ医療保障であれば、掛け捨て保険のほうが保険料は安く済みます。

5.健康還付金付タイプは途中で外せない

貯蓄性医療保険の多くの場合、契約時に一度決めたら、途中で保険料の安い掛捨てへの変更ができない。変更したい場合は、医療保険自体をいった解約しなければならず、解約後に今まで上乗せで支払っていた保険料全額が戻ってくることはほとんどありません。

保険会社の高い保険料で契約を継続してほしいとの意図が見え隠れします。

貯蓄型医療保険が向いている人

貯蓄型医療保険が向いている人の特徴は以下の通りです。

貯蓄が苦手な人

貯蓄が苦手な方は、自由に使えるお金が増えるとつい使ってしまうことが多く、計画的な資金確保が難しい場合があります。

しかし、貯蓄型保険に加入すれば、毎月決まった期日に自動的に保険料が引き落とされるので、半ば強制的にお金を貯められます

また、途中解約すると元本割れする可能性があり、預貯金のようにお金を自由に引き出しにくいため、貯蓄を継続しやすいでしょう。

家計に余裕がある人

貯蓄型医療保険は掛け捨て型と比べて保険料が割高になる傾向があるため、毎月の保険料を無理なく支払える家計の余裕がある方に向いています。

貯蓄型医療保険は将来的にお金が戻ってくるものの、契約期間が長期になるほど、支払う保険料の総額も増えるため、負担感が大きいと感じることも少なくありません。

無理なく保険料を支払える状況であれば、お祝い金や健康還付金を楽しみにしながら長期間継続できるでしょう。

まとめ

貯蓄型医療保険は、入院や手術があっても無くても給付金を受け取ることできたり、健康であれば、それまでに支払った保険料が全額戻ってくることで、保障と貯蓄を同時に備えることができる点がメリットです。

一方で、掛け捨ての医療保険に比べると上述のとおり、販売手数料や保障に関わる費用が高く、途中で解約すると元本割れする、保険料が割高になる等といったデメリットがあります。

貯蓄型医療保険は、掛け捨て医療保険にコストのかかる投資信託の組み合わせです。

保険に加入する本来の目的は、保険は、「めったに起こらない」「いつ起こるかわからない」「起こったら経済的損失が大きい」リスクに備えるものであります。そのため、必要保障額を満たす範囲で掛け捨て型の保障を選ぶことが賢明です。

老後の資産形成を検討する際は、まず投資信託などの資産運用商品を活用し、保険はリスクに備える手段として別枠で考えることが大事です。

確かに、掛け捨て型の医療保険は、基本的に保険料が戻ってくることはないため、もったいないと感じるかもしれません。

しかし、割安な保険料で加入できる、途中でライフサイクルに合わせて柔軟に見直しができるといったメリットもあるため、掛け捨てが嫌だからという理由だけで貯蓄型の医療保険を選ぶのは良い選択ではありません

どちらの医療保険を選べば良いのか、自分だけで判断するのが不安な人は、保険のプロであるFP(ファイナンシャルプランナー)等に相談してみることでよいアドバイスが受けることができます。

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