特例退職被保険者制度は、定年などで退職して厚生年金等を受けている人が、後期高齢者医療制度に加入するまでの間、在職中の被保険者と同程度の保険給付並びに健診等の保健事業を受けることができる制度です。
実施している保険組合がとても少ないため、この制度は紹介されることがあまりありません。
というのも、「特例退職者被保険制度」があるのは61組合しかありません。しかし、もし利用できるのであれば大きなメリットがある制度なのです。
特例退職者被保険制度のメリット
この制度には、次の3つのメリットがあります。
①一般被保険者(現役社員)と同程度の医療給付や人間ドックの割引、保養所等の優待利用等のサービスが受けられる。
②一般被保険者と同じように、扶養家族も対象になり保険料がお得になる。
③「特例退職被保険者制度」は、後期高齢者医療制度が始まる「74歳」まで利用できます。
「特例退職被保険者」も、上述の付加給付制度の対象となりますから、いくら高額な医療費がかかっても、自己負担額は2万円から3万円となります。
また、健康保険組合では、人間ドックが無料であったり、保養施設などを優待価格で使用できる制度が用意されています。
①および②のメリットは「任意継続被保険者」でも同じです。
「特例退職被保険者制度」ならではのメリットは③の利用期間です。つまり、任意継続の場合、利用できる期間は最大でも退職後2年間に限定されていますが、「特例退職被保険者制度」は、後期高齢者医療制度が始まるまで、つまり「74歳」まで利用できます。
制度が利用できる健康保険組合は61組合だけ
「特例退職被保険者制度」があるのは「特定健康保険組合」という限られた保険組合だけです。「特例退職被保険者制度」は、制度がある保険組合が少なく、また勤続年数などの制約も厳しくなっています。ご自分の加入している健康保険組合が「特例退職者被保険制度」のある「特定健康保険組合」でないか、お勤めの企業が加入している健康保険組合のホームページ等で確認してみましょう。
出典:平成26年11月7日 第84回社会保障審議会医療保険部会
加入条件がありますので要注意
また、「特例退職被保険者制度」がある組合でも、制度に加入するためには以下の条件が必要となります。
①保険組合の被保険者であった期間が20年以上あること
②または、被保険者であった期間が40歳以降で10年から15年以上あること(保険組合によって年数が異なります)
③老齢厚生年金の受給資格者であること(年金の支給が始まっていること)
つまり、③については、昭和36年4月2日生まれ以降の方(男性)であれば、老齢厚生年金の受給開始年齢は65歳となり、それまでは「特例退職者被保険制度」に加入することができないため、つなぎとして健康保険の任意継続および国民健康保険に加入しなければならない等の条件がありますの気を付けましょう。
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